【令和8年 幼児教育WG・保育専門委員会 取りまとめ(案)】「遊びの深まり」具体例と環境構成のヒント
前回の記事では、文部科学省・こども家庭庁の「幼児教育WG・保育専門委員会 取りまとめ(案)」の全体像と、最重要キーワードである「遊びの深まり」について解説しました。
では、国が重要視する「遊びが深まる」とは、具体的にどのような状態を指すのでしょうか。
本記事(第二弾)では、公式資料に記載されている具体例を読み解きながら「遊びが深まる」過程を具体的にご紹介します。
「遊びの深まり」のプロセス(車輪転がしの例)
公式資料では、「乳幼児は園生活の中で『遊び』を通して『学ぶ』」として、「車輪(タイヤ)を斜面で転がす遊び」が具体例として挙げられています。資料から読み解ける「学びのプロセス」は以下の通りです。
- ① 心情・意欲の芽生え(出発点)
子どもが斜面やタイヤと出会い、「面白そう!」「やってみたい!」と心を動かす最初のステップです。すべての学びは、この自発的な興味・関心からスタートします。 - ② 知識・技能の基礎の獲得
何度もタイヤを転がす(直接的・具体的な体験をする)中で、子どもは「たくさん傾いていると速く転がるぞ!」と気づきます。モノの性質や法則を、遊びを通して感覚的に掴んでいる状態です。 - ③ 思考力・判断力等の基礎の発揮(遊びの発展)
さらに遊びが深まると、子どもは「転がす車輪の大きさを変えたらどうなるかな?」と自ら見通しを立てて試し始めます。与えられた正解ではなく、自ら問いを立てて検証する探究のプロセスです。
資料では、こうした「遊びの深まり」を実現するためには、保育者が子ども一人一人を理解し、意図的・計画的に環境を構成し、援助することが重要であると明記されています。
「すてむくらぶ」で体験する、デジタルの「遊びの深まり」
では、この「面白そう!」から始まり「どうなるかな?」と試行錯誤する環境を、現代のツールを使ってどのようにつくることができるでしょうか。
ここで、私たち「すてむくらぶ」が提案する活動をご紹介します。
小学校、中学校、高校へと進むにつれ、デジタルツールは子どもたちの「生活や学びの一部」となっていきます。すてむくらぶでは、このデジタルの体験を幼児期から“少しだけ”取り入れる(月1〜2回、1回40〜60分程度)ことで、無理なく遊びを深める環境を提供しています。
プログラムの中で子どもたちが主に行うのは、とてもシンプルです。
- メイン活動①:自分の絵を描く
- メイン活動②:描いた絵を動かす
このシンプルな活動の中に、公式資料が示す「遊びの深まり」のプロセスが詰まっています。
「何度でもやり直せる」から試行錯誤が生まれる
デジタルならではの最大のメリットは、「何度でも失敗して、やり直せる」ことです。
描いた絵を動かそうとしたとき、子どもたちは「目的の場所へ行くには、右に何個進めばいいかな?」「このブロックを使ったらどんな動きをするんだろう?」と、まさに車輪の大きさを変えてみた時のように、自分で条件を変えながら検証を繰り返します。
また、絵を描く場面でも、少し描いては「ここを直そう」と、自分が納得いくまで何度も何度も書き直す姿が見られます。この「失敗してもやり直せる安心感」が、子どもたちの思考力や、粘り強く取り組む姿勢を強く育んでいくのです。
「もっと!」と心が動く体験が、他者と向き合う「態度」を育む
試行錯誤の末に自分の作品が思い通りに動いたとき、そして発表の場で友達に「すごーい!」と驚いてもらえたとき、子どもたちの心は大きく動きます。
この喜び(心情)は、「次はこんな作品にしてみよう」という次への原動力(意欲)へと自然に繋がっていきます。自分が作ったものを認めてもらう嬉しさを知るからこそ、友達の発表を聞いて「そのアイデアいいね」と他者を認め合う姿勢も育ちます。この対象や他者へじっくり向き合う姿勢こそが、国が重視する「学びに向かう力・人間性等」の基礎となる「態度」の育ちに他なりません。
日常の「リアルな体験」がデジタル表現に結びつく
そしてすてむくらぶの活動は、デジタルの世界だけで完結するものではありません。子どもたちの日常のリアルな生活(アナログな体験)が、デジタル表現へと結びついていくのが大きな特徴です。
例えば、園の運動会で玉入れの練習をしている時期。子どもたちは、普段作っている「かけっこ」のデジタル作品の中に、自分から進んで「玉入れをしている様子」を描き足したりします。
日々の生活の中で心が動いたこと、経験したことを、デジタルの世界で表現する。アナログとデジタルが互いに響き合いながら、子どもたちの表現力はさらに豊かに広がっていきます。
まとめ
国が取りまとめ案で示しているのは、子ども自身が自発的に環境へ関わり、試行錯誤を通じて資質・能力を育む「遊びの深まり」の重要性です。
「すてむくらぶ」が提供するデジタルのものづくり体験も、目指している本質は全く同じです。
特別なことを教え込むのではなく、子どもたちの「面白そう!」という心情を出発点に、デジタルの世界で存分に試行錯誤(探究)できる環境を意図的・計画的に構成しています。
これからの時代を生きていく子どもたちへ。日常の豊かな体験をさらに広げる表現の場として、「すてむくらぶ」を取り入れてみませんか?

