菩提こども園しらさぎ|プログラミングで内面育てる。

菩提こども園しらさぎの特色
大阪の堺市にある菩提こども園しらさぎは、庭園からは電車が見え、木製でできた遊具や砂場、ビオトープ、農園など、自然が身近に感じられ、「のびのび、にこにこ、きびきび」と子どもたちが遊べる環境がある園です。 広い園庭や遊具で、網やボルタリングに登ったり、ぴょんぴょんとトランポリンでとんだりしながら健康な身体と体力向上をはかり、草木を観察したり、野菜のお世話など、遊びを通じて基本的な生活習慣や自然との触れ合いを通じたやさしい気持ちを持った子どもたちを育てます。 グローバル社会をリードできる世界人となってほしいとの願いから、カリキュラムでは、体を動かしながら心と体の成長を養う体育指導や、身近な題材をもとに自然に身につけることのできる英会話教育、自らの持つ能力を開花させるプログラミング教育を提供しています。
導入経緯
– プログラミング教育を導入されたきっかけや理由は何でしょうか?
もともとプログラミング自体に興味があった訳ではないんですよ。
大学入学共通テストへの教科「情報」導入されるというものが言われ始めたぐらいに、見学させていただいたんですけど、
協調性だったり、失敗を恐れないとか、プレゼンの能力などの内面的なものを授業の中で教えていくことによって、自然と身に付いていけるのではないか?幼児教育的に小学校に上がるまでに、こういう力を身につけて行かせてあげたいなという思いと合致している部分があったんです。
この先、園で通う年数ていうのは、すごく短いんですけど、ここからの先の未来でいろんな選択肢を選べるように、いろいろなことに興味を持ってチャレンジする、「失敗したら失敗したでいいじゃない」っていうところも含めて、プログラミングで教えていければな、と思って始めました。
コロナになってどんどんオンラインになって対面で会わなくてもいろんなことができたりっていう、情報のツールが日々進化していますよね。
この園はコロナとともに生まれている園みたいなものもあるので、物怖じせずに情報のツールを使えるようになってほしいと思ったんです。
幼少期の時からパソコンやスマホを、ただ単に遊びや暇つぶしだけのツールじゃなく、そこから何かを作り出せたり、動かせたりとかできる素晴らしい機械というのも教えていてあげたいという部分もあって
プログラミングを学ぶのに、タブレットでなくてもいいんですけれども、子どもたちが日々接しているタブレットを使ってやっていこうっていうことになりました。
他の会社にも行ったりしたんですけど、ロボットを動かすことを目的にしているような感じがすごくしたんですよ。
子どもの内面をどうこうっていうんじゃなくて、技術を伸ばすためのところないんじゃないかなっていう印象だったんです。
でも、すてむくらぶを見学してお話を聞いた時に共感を!
「そうだ、そう!私が教えたいのはコレ」と思ったところからです。
本当にすごい共感しました。
大きくなれば技術も必然なんですが、そのベースとなる人間教育というか、「あっすごいな」って。
共感した『子どもの内面』を育てるすてむくらぶとは?
🔗すてむくらぶとは
– ありがとうございます。嬉しい言葉ですね。
非常に内面的なものはすごく大事だと思いますし、これはプログラミングでこそできるというのは、私どもはすごく共感できます。
「遊びながら、多くのことを学んでいる」
小学校に上がるまでの就学前の幼児教育期間に子どもたちっていうのは色んなことを学んで、大人の情報のもう何百倍、何千倍、何億倍も色んな情報を取り込んで日々成長していっています。
それを「勉強を教える」ではなくて「自分自身で学ぶ」っていうことが、やはり自分の中に取り込める一番の大事な要因だとは思っています。
でもね、やっぱり幼児なので、小学校とか中学校高校とかで教える勉強のように教えたところで難しいですから、そこは遊びながら色んなことを経験をすることによって、色んなところとどんどん結び付いていって学んでいくっていうことが大事だと思います。
たぶん子どもはプログラミングの時間をただ遊びだと思って楽しんでいるのですが、根底には「今日はこういうことをやってみよう」とかという部分が置くようにしています。
子どもたちの成長
– プログラミングをやりながら、子どもたちが成長したと感じることはありますか?
なかには失敗することを恐れてこうやり始められない子っていてるんです。
例えば絵を描く時、描き始めるのに間違うことを恐れて始めるのが遅くなって、結果みんなが終わる頃にまだそんなに書き終わってないみたいなことがあるんですが、プログラミングで絵を描く時は、とりあえずパッて描いて「違う」ってなったらやり直すことが分かるから、とりあえずやってみる。自分が思っているのと「違うな」と思ってもやり直せるんだということで、ちょっと物怖じしなくなってくるかなっていう部分は感じる時もあります。
全員が全員そういう風にはやっぱり難しい部分もあるんですけれども、何人かはやっぱり物怖じせずにできるようになっているんじゃないか、自分が思ったものを最終的には作り上げていけるようにはなってきているんじゃないかなとは思います。
– いろいろなお子さんいらっしゃいますよね。
必ずしも普段から目立つ子や優秀な子がプログラミングの授業で活躍しているではなく、普段埋もれているような子でも、もしかしたらこの時間は生き生きとしているかと思うのですが、どうでしょうか?
そうですね。普段のプログラミングなしの幼児教育の中では、絵を描いたり、運動をしたり、あとはブロックで遊んだりとかっていう自由遊びの部分で、先程お伝えしたみたいな失敗するのが怖くてなかなか踏み出せない子だと、みんなよりスタートがちょっと遅れてしまって、みんなはもう出来上がっているのに出来ていないとなるので、どうしても「一生懸命最後まで頑張ったね」「こういうのを作れてすごいね」っていう褒められ方まではいかない部分が多かったりするんですね。
でもプログラミングの時って、一人で集中して自分の世界でやり込んで、自分が思い描いたやつを作ってみて、自分が違うなと思ってもやり直せますよね。
大体みんな独自の世界をつくり出せるようになってきて、そういうのがあると偶然的にもすごいクオリティのものが出来上がってくる時があるんです。「すごいね!これ!」って大人から見ても色使いがすごいとか、「あっ!こういうのできているんだ」とか。
「これなあに?」って聞いたら、ただの三角のようなやつであっても、「これは何々」「これは恐竜」って説明してくれるんです。
そういう一つ一つが褒められる経験が増えたって思います。
子どもたちがいろんなことに自信をつけてきたっていうのがあって、そこからちょっと社交的になり、「わ~すごいね」って言われると周りは「すごいね」っていう言葉に反応して「え!どんなん?どんなん?わっ!すごいやん」ってなってきて、なんかその子もちょっと嬉しくなって、「これはな、こうやで。ああやで」って言うプレゼンをし出すんですよね。
だからそういうのが自然にできるようになってくると、行事とかでも前で発表するってなった時、今までのこの子だったらきっと恥ずかしくてもじもじしてできなかっただろうなっていうことも、自信を持っていろいろなことに挑戦できるようになったかなと、すごくすごく感じます!
– ある意味、プログラミングは自己表現の一つのツールではあるんですけども、それを非常に効果的に用いて、一人ひとりが持つポテンシャルを引き上げてあげた事例ですね。
引き上げてあげようとかっていう気持ちは全然ないんですよ。
大人はやっぱり上手に描いていこうってするので、配置とかバランスとかを考えちゃうんです、私もなんですけど。
子どもの描くものっていうのって、そういうのなくて、ぽぽぽぽっと目とかの配置もなく、歪んでてもフォルムが凄くかわいいかったり、色合いがすごい斬新でも、それがすごい素敵だなとか、そういうところがやっぱり発揮できているので、もう素直に本当に心の底から「すごいね~!」ってなります。
どんな子どもに育ってほしい?
– 本当に素晴らしいですね。そういう教育を小さいうちから受けて、これからいろんなことを吸収しながら大人になっていくと思うんですけども、将来どんなふうになってほしいですか?
やっぱりいろんなこと、興味を持ったことに対してチャレンジをしてほしい。
「失敗するかも」「何か違うかも」って思いながらチャレンジしないんじゃなくて、「違うかったら違うかったで、いいんじゃない」っていう風に思いながら、いろんなことにチャレンジする。と言っても、道徳的なところとか、いろいろ出てくるとは思うんですが。
「自分はどうせできないから」とか「分からないから」とかっていう気持ちを持って、自分で自分の可能性を潰してほしくないなとは思うんです。
そういう部分じゃなくて、まずはやってみる。で、そこで違うかったら「何か違うな」と思ったら、もうそこはそこでいいんじゃないかなとは思うので。
でも、おっきくなってくると、例えば習い事で、飽きっぽくて「これはしない」「あれはあれやってみたいけど、これは違う」とかって出てくると思うんですけど、そういうことじゃなく、一回やったら「頑張ってできるまで頑張ってみよう」っていうところは伝えて、ゴールはちゃんと導いてあげられるようにしてあげたいです。
その子にはいろいろな可能性が眠っていると思うので、それをいかに大人の周りが気づいてあげて、そこを伸ばしていってあげるところも大事だと思うので、
園にいてる時もいろんなことをして、この子にはこういう特技があるんだとか、こういうことがすごく好きで、ずっとやり込んでいるからっていうところだったら、やっぱりそこはね、どんどんどんどん伸ばしていってあげたいなとは思うので、そういう良いところ探しをしている感じですかね、その子にとって。
私自身も大人になって、こういう風に色々なことに物怖じせずにいろんなことにチャレンジしていて思うんですが、やっぱり協調性というところも大事なことにはなってくると思うんですよ。
プログラミングでも、「どうやっていったらいいか分からない」ってなった時に、手を貸し過ぎないようにしています。
グループで「こうしたらいいんじゃない」とか、「ああしたらいいんじゃない」とか、誰かがやっているやつを見て、それを参考にしてできる、何か分からなかったらお友達に聞いて助けを求められる。人が困っていたら助けられる、自分が困った時に誰かにちょっと助けを求められるように、声掛けだったりとか環境を作る努力をしているので、そういう子にもなっていってほしいなと思ってます。
– それが本来の社会というか、「迷惑かけない」という話じゃなくて、お互いに助け合いながら、必要があればどんどん求めるみたいなところも、これから必要になってくるところですよね。
指導のポイント
– これからプログラミングを始められる園の先生の中でプログラミングを「なんでやるんだろう」と疑問を持っていたりだとか、理解も深くなかったりする場合もあると思うのですが、指導するにあたって気を付けた方がいいポイントや考え方のポイントとかありますか?
専門的な知識はあんまり必要ではなくて、どっちかっていうと保育をしている感じなんです。5歳児さんのカリキュラムってなってくると専門的な知識はいるようにはなってきますが。
保育をしている時と同じやり方で、子どもの能力を導き出していくということなんです。
『失敗を恐れない』ようになってもらうことなので、「それは違う」「間違っている」とか、「そういうようなことはこういう風にしないといけない」とか制限をあんまり言わないように気をつけてます。
普段の保育の時は、お約束みたいな感じのがやっぱり付いてくるでしょう。のりを使う時はザバーっと使わず「ちょっとずつ使って薄く伸ばすのよ」という使い方の部分。
でもプログラミングの時は、機械なので「大事に扱ってあげてね」とか「踏まないでね」っていう部分は伝えるんですけど、それ以外のことで何か「こうやってはいけない」とかというのは、あまりしないようにしてます。
だから、「どうやってやったらいいんだろう」って思うかもしれないですけども、幼児教育(保育)の根底にある『子どもに対して伝えたいこと』は、プログラミングの教育の中の根底とさほど変わりがないので、同じようにそこの園で大事にされている、そこの園独自のプログラミング教育っていうのは絶対できると思いますし、そうやっていったら絶対にうまくいくと思います。
– 素晴らしいですね!ありがとうございます。
スタッフの教育
– 基本的に先生がされて、他の先生方もいろいろお手伝いに入られているんですね。
私がやりたいと言い出したものなので、伝えたいことが私の中にはあるけれども、「こういうふうにやってね」って伝えるには、まだ私の経験が不足しているなと思っているので、自分でやっているのを見てもらってから、ある程度理解を深めてもらうようにしています。
私の言葉なり、子どもが困っているときにどういうふうに声かけたかとか、言ったことと違うことをした時に、どういうふうに声をかけたかというところも、全て見てもらっています。
最終的には委ねたいですね。
先生たちが、正課としてというよりも生活の一部としてカリキュラムの中に入れていくというのが最終的な目標だったりとかするので、絵の時間があったりというのと同じでプログラミングの時間があるっていう、誰もが同じ方向を向いててできる方がいいなとは思っているんです。
けど、そこへ到達するまでに私がやっています。
いろいろな主幹教諭の方が来てもらっているんですけど、私が園外や会議とかに出ることもあって、できなかったりするので、その時に急遽お願いできるように、付いては見てもらってます。
プログラミングは奥が深くて、伝わりきらない部分がありますね、やっぱりどうしても。
だからプログラミングしながらでも、担任の先生も一緒に入って補助はしてくれるんですけど、担任の先生はやっぱり遠慮しすぎてしまうというか。
基本的には全体を見て「こういう風にしてるな」って見ているので、それをやはりどうしても正そうとして声をかけてしまいがちになるので、そういうところを見たら「先生」と言って指導しています。
ちょっとずつ何年かかけてでも思いの部分が浸透してもらいたいなと思いながら。
– スタッフに対してのフォローをされているというか、スタッフ教育に時間とコストをかけながらなされているなと感じます。
そうですね。普段の時もそうなんだけど、プログラミングの時は「とりあえず失敗してもいいから」「失敗させていいから」と伝えています。
「失敗と言っているけれど、間違ったことは何一つないから」って言って。
子どもが自分で見つけれることが一番だから、そこが「どうなるんだろうね」とか「どうするの?」という声かけをずっとしてきました。
それ前提の声かけに変わっていくので、他の若い先生も学んでくれているのかなと思っています。
– すごくいい教育になっていると思います。
菩提子ども園しらさぎは「先生を派遣して教えてください。場所を出します」というようなところじゃなくて、園の先生を含めた人間教育なんだと、そして、子どもをちゃんと教育するという一つの流れの中でうまく取り組んで活かそうとされているというのは、本当にまさにそれをやってほしいなって思ったところですね。
園の先生がプログラミングした方が、たぶん園さんもやりやすいと思うんです。
先生の派遣をしてもらうとなると、ちゃんとすてむくらぶの思いをわかっている方が来るんだったらいいんですけど、機械的・情報的なことに詳しい方が来たりするじゃないですか。
表向きのやる内容はプログラミングなんだけど、そこに幼児教育を伝えていくのがすごく大変ですね。
園の考えとか「こういう風な人を育ててるんだ」というそういう思いが共有できているかどうかで、そうちょっとした一言とかで変わってくるので。
でも、逆にこういう風に「幼児さんには伝えるんだよ」って幼児に慣れることや、話し方も幼児寄りにするということも見せれるので、自分でやった方がいいかなと思っています。
導入時、苦労したこと
– 導入するにあたって苦労されたとかありますか?
導入には、やっぱり設備や環境を整えていかなくてはいけないですよね。
ただ単にパソコンがあるだけではだめだし、パソコン一台につき、かなり額がありますし、ロボットもピンからキリまであるので、そんなに手が出せないほど高価ではないんですけれども、やはり子どもたちの人数によって台数も増やしていった方が、より子どもの学びには学ぶ機会が増えてくると思うと、どうしても導入する前に準備することの費用っていうのは、やっぱりある程度掛かってきますね。
あとは、電子機器なので不具合が出ることも多いかなと思いますので、取り扱いにはちょっと気を使いました。
さいごに
– 最後に伝えたいことがあれば
プログラミング教育をしようと思ったのは、流行りにのってやるっていうことではなく、プログラミングの中にどういう内面的な部分・思いがあるのかっていうことをちゃんと自分の中に持っている方が、絶対にプログラミングの授業とかはうまくもっていけると思います。
あとはもう細かい手法だったりとか、カリキュラムの立て方だったりとかというのは、いろいろ資料をいただいたり、教えてもらえるので、そこを参考にしつつ。
そっくりそのままではなく、その園のやり方から、子どもたちに教えるにはどういう風にすればいいのかっていうのを前に立ってやる側、教える側がちゃんと作った方がいいかなと思っています。
「プログラミングやってますよ」と言うと、保護者の方は「プログラミングをやっているんだ。すごい!」って教育的なことしてるんだと感じてくれますから。
少子化とかになってくると、英語とかを取り入れても変わり映えしないんですが、他がプログラミングをそんなに取り入れていない今だからこそ、ですね。
園を再生しようと思われてるのでしたら、とてもいい教育だと私は思っているので、プログラミングの教育は、本当にお勧めです!
– 本当に興味深く、色々とお伺いしちゃいました。
ありがとうございました。